読売ファミリーニュース播磨版 くらしの民事相談
平成18年8月23日
Q:このたび夫と協議離婚することになりました。10歳の子どもがいます。離婚時に決めておかなければならないことなどを、できるだけ詳しく教えてください。
A:未成年の子どもがいる場合の離婚時の話合いで一番重要なことは、親権を父と母のどちらにするかということです。これは離婚届に記入する欄があり、ここが記載されていないと離婚届が受理されません。 離婚後に、起こりうるトラブルを未然に防ぐ、という観点から言うと、ほかにも決めるべきことがたくさんあり、まず、未成年の子がいる場合は、監護親(実際に子どもの養育にあたる親)は、非監護親から養育費をもらうことができます。これは子どもの権利ですので、離婚後、子が成人に達するまでは、いつでも請求することができます。離婚時に取り決めた養育費の増額・減額請求も、支払義務がなくなるまでできます。 次に、財産分与です。財産分与というのは、婚姻中に夫婦が共同で作った財産を、離婚時に分ける行為で、不動産や預貯金、有価証券、車両など、婚姻後にできた財産を分けます。名義がどちらか、また、収入がどちらのものであったかは関係がありません。最近の判例では、専業主婦であっても婚姻中にできた財産の2分の1は妻に権利がある、とされることが多いです。 次に慰謝料です。離婚といえば慰謝料、というイメージを持っておられる方が多いようですが、慰謝料というのは精神的苦痛に対する損害賠償ですので、誰でももらえるというものではありません。また、離婚を請求した側が必ず支払わなければならない、といった性質のものでもありません。
Q:養育費、財産分与、慰謝料という3つのことを決めなければならないのはわかりました。その取り決め方は?
A:原則として、夫婦間の話合いで決めます。夫婦間でどうしても同意に至らない場合、裁判所に調停を求めることもできます。ここで大切なのは、合意したことは必ず書面で残しておくことで、「離婚協議書」といわれる契約書を作成するのがいいですね。口約束では、例えば約束した金額を支払ってもらえないというときに、証拠にはなりにくいからです。 また、財産分与や養育費などを約束をしない場合でも、必ず離婚協議書は作成してください。というのは、財産分与は離婚後2年間、慰謝料は不法行為の事実及び相手方を知ってから3年間請求できるので、離婚して2〜3年後に、慰謝料を請求される可能性があるということです。
Q:離婚協議書の作成方法は?
A:手書きでもワープロでもいいですが、必ず2通作成し、夫婦双方が署名・捺印した上で、1通ずつ保管してください。金銭の給付契約がある場合、公正証書で作成することをお勧めします。 公正証書というのは、公証役場に夫婦がそろって出頭し、作成してもらう公的な文書です。私的な契約書は信憑性が薄く、強制執行をする際には一度裁判所に行って、裁判を起こさなくてはなりません。公正証書の場合は、公証人に本人確認書類を提示した上で、公証人が作成しますので、一定の要件さえ満たしていれば裁判の手続を踏まずに強制執行することができるのです。養育費など、支払期間の長い契約を交わすときは、公正証書で協議書を作成しておくことを強くお勧めします。
離婚はつらい決断かもしれませんが、既に起こってしまっているトラブルから逃れる一つの選択肢だと私は考えています。それ以外に方法がないからと選択した離婚が、新たなトラブルの種にならないよう、約束事はきちんと書面で残しておいてください。
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